行事風景
イエス様はどのようなお顔をしていたのか⁈
みなさんそれぞれにイエス様のお顔のイメージをお持ちだと思います。
それは、馴染みのある教会のご像、見たことのある絵画や映画で演じた俳優の顔など、実は多くの連想させるお顔から各人が確固たるイメージを持っているのではないでしょうか。
久留米教会のイエス様
(十字架のイエス様を左右から照らす照明の位置と光の具合が変わったことにお気付きですか⁈)
その中でも、十字架上のイエス様のイメージについて考えてみました。
12世紀までのイタリアのキリスト像は苦痛や苦悩を超越した表情で描かれていました。
「勝利のキリスト」と言われています。
13世紀になると、首をうなだれ、苦痛と悲しみの表情を浮かべた「苦悩のキリスト」が主流となってきます。
それは、アッシジの聖フランチェスコが要因を作ったとされています。
フランチェスコの体に聖痕が現れたと言われるほど厳格な生活を徹底していたその姿勢は、イエス様の受難について語る際にも反映されます。
聖フランチェスコの説教には鳥も耳を傾けたというエピソードのとおり、人々への共感が広がり、絵画においても人間的な苦悩が強調されることにつながったのです。
グリューネヴァルトは16世紀に活動したドイツの画家。
ドイツ絵画史上最も重要な作品の1つであるのが、このイーゼンハイム祭壇画
磔刑図は数多く描かれていますが、肉体的な苦痛をここまで表現したものとしてはこの作品に匹敵するものはない、と言われています。
イーゼンハイムの聖アントニウス会修道院付属の施療院の礼拝堂にあったもので、患者が自らの苦痛を十字架上のキリストの苦痛と感じ、救済を得るために、このような凄惨な磔刑像が描かれたと言われているそうです。
グリューネヴァルトの絵の背景の闇をさらに濃密にし、風景も他の人物も排除して祈りのための「像」として描かれたのが、スルバラン1627年作の『十字架のキリスト』
その5年後に描かれたのが、同じくスペインのベラスケスの『十字架のキリスト』
闇に浮かび上がる十字架によって、神の子としてのイエス様の崇高さを表現すると同時に、リアルな描写で人間イエスの肉体の痛みをも描き出しています。
ちなみに、頭上に書かれているのは、3か国語での「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」
前述のグリューネバルトのように、16世紀ごろまでは「INRI」(ラテン語の「IESUS NAZARENUS REX IUDAEORUM」の頭字語)と書き表すのが普通でしたが、このころから絵画も世界的な広がりを見せてきたことを反映し、3か国語表記が主流となったそうです。
わたしたちの持つイエス様のイメージは、このあたりの作品が近いのでは⁈
ここで告白!!
すべて、わたしが調べたのではなく、種明かしはこの本!!
西岡文彦さんの「名画でみる聖書の世界」新約編
(旧約編、は書かれていないようです。)
創世記から最後の審判までの世界中の名画の背景と解説が書かれていて、とっても読み応えがあります!
少し古い本なので、残念ながら本屋さんに新品はありませんが、アマゾンで中古本をお求めいただけます。
(久留米教会の方はわたしにお申し付けください!)
四旬節に向け、十字架上のイエス様に思いをはせ、穏やかに過ごしていきたいと思います。