2021年3月の記事一覧
苦難の折の祈りのことば
10年前の3月11日、どこで何をしていたか覚えていますか?
わたしは知り合いからの電話でテレビをつけ、大きな地震が起きたことを知りました。
個人的に2011年は、苦難の毎日でした。
どうやって生活(食事や掃除洗濯など)していたか全く記憶がないほど全てのことが大変で、それ以前もそれ以後もあれほど苦しい年はありません。
東日本大震災で被災された方々は計り知れない苦難の日々を送られていたことと思います。
苦難の大小は比較できるものではありませんが、あの2011年はいまのコロナ禍とは全く違った苦しみの日々を送った大勢の方がおられました。
わたしは、あの日々があったからこそ今がある、と確信しています。
10年経った今は自信を持って「乗り越えた」と言える心境です。
2011年を何年もかけて乗り越えられたのは、間違いなく神様がずっとそばにいてくださったからです。
福音宣教3月号の中から、聖書学者の本多峰子さんの連載の要点を書き出してみます。
◆苦しみが本当に無効にされるには、その苦しみがより大きな善のひとつの原因となって、その苦しみがあったからこそもたらされるよいことが成就しなければならない。
◆つらい経験の後では、いままでは当たり前と思っていた幸せを何倍も強く、大切に感じることができるようになるということもある。
けれども、それは苦しみの目的ではなくて、結果だ。
神様はそのようなことのために苦難をお与えになるのではなく、むしろ、そのような苦難の中からさえも幸せをもたらしてくださる、ということ。
◆神様はわたしたちに、苦難を乗り越える力や助け合う力を与えて、助け合って成長してゆくことさえも可能にしてくださっている、ということが恵み。
◆苦難があるから至福があるのではなく、苦難があっても至福がある。
◆神様はわたしたちの成長のために苦難を与えるのだと考えるよりも、苦難の最中にあって神様はわたしたちを助け、わたしたちを成長させてくれる。
眠れないほどの苦難の最中にできることは、その現状に抗うことではなく、神様へのクレーム(「どうしてですか!?」「どうしたらいいのですか!?「なにをお望みですか!?」など)とともに祈ることしかできない、というのがわたしの経験です。
苦難の折に聖ヨセフへとりなしを願ってみることを勧めます。
聖ヨセフへの祈り
以前ご紹介したとおり、今年の12/8まで聖ヨセフ年となっています。
それに伴って新しい祈りのことばが発表されました。
聖ヨセフよ、わたしたちは苦難の中からあなたにより頼み、あなたの妻、聖マリアの助けとともに、あなたの保護を心から願い求めます。
あなたと汚れないおとめマリアを結んだ愛、幼子イエスを抱いた父の愛に信頼して、心から祈ります。
イエス・キリストがご自分の血によってあがなわれた世界をいつくしみ深く顧み、困難のうちにあるわたしたちに
力強い助けをお与えください。
聖家族の賢明な守護者よ、イエス・キリストの選ばれた子らを見守ってください。
愛に満ちた父ヨセフよ、わたしたちから過ちと腐敗をもたらすあらゆる悪を遠ざけてください。
力強い保護者よ、闇の力と戦うわたしたちを顧み、天から助けを与えてください。
かつて幼子イエスをいのちの危険から救ったように、今も神の聖なる教会を、あらゆる敵意と悪意から守ってください。
わたしたち一人ひとりを、いつも守ってください。
あなたの模範と助けに支えられて聖なる生活を送り、信仰のうちに死を迎え、天における永遠の幸せにあずかることができますように。
アーメン。
(2021年2月16日 日本カトリック司教協議会定例司教総会認可)
次にご紹介する祈りは、教皇フランシスコが40年以上毎日唱えられている、イエズス・マリア修道会の19世紀の祈祷書の中の聖ヨセフへの祈りです。
栄光に満ちた父祖、聖ヨセフ。
あなたは不可能なことを可能にできる力のあるかたです。
苦悩と困難にある今この時に、どうか助けに来てください。
深刻で困難な状況を、わたしはあなたにゆだねます。
あなたの保護のもとに引き受けてください。
そうして、よい解決策を得ることができますように。
愛する父よ。あなたを心から信頼します。
あなたにむなしく祈った、そうなることのないように。
あなたはすべてのことを、イエス、マリアとともに行われるのですから、あなたからの恵みが、あなたの力ほどに大いなるものであることを示してください。
アーメン
この祈りは、先ほど発行された新しい使徒的書簡「父の心で」に紹介されていました。
あの震災から10年。
心の傷が完全に癒えたとは感じられない方もまだ多くいらっしゃることでしょう。
コロナ禍の様々な規制によって苦難の最中にある方も多い今、「沈黙の聖人」と言われる聖ヨセフへの祈りが心の支えとなりますように。