行事風景
反対側から考える。
これは、わたしたちが普段見ている景色の反対側からの様子です。
日曜日の朝、教会に集まり、ミサ前に祈るわたしたち。
日々への感謝の祈り、病床の家族への祈り、死者の安息のための祈り、様々な気持ちで目を閉じ、手を合わせて祈る信徒の姿。
普段この様子を祭壇側から見ている司祭は、どう感じていらっしゃるのでしょうか。
侍者の子どもたちは何かを感じているでしょうか。
今日は、一枚の絵をご紹介します。
『十字架上のキリストが見たもの』
と題された、19世紀後半の画家、ジェイムズ•ティソの作品です。
この絵は、ニューヨークのブルックリン美術館にあります。
初めて見たときの衝撃は忘れられません。
十字架上のイエス様の絵は多く描かれていますし、磔刑のご像はよく目にしているわたしたちですが、イエス様が十字架上から見た景色を想像したことはあるでしょうか。
イエス様の足元にすがりつくマグダラのマリア、後ろに聖母マリア、若い使徒ヨハネ、馬に乗った祭司長たち、鎧姿のローマ兵
「絶望する者、嘆く者、見物しにきた者、、、愚かで救いがたい哀れな人間たち。
だからこそ救わねばならぬ人間たち。
彼らをイエスは慈愛の眼差しで見下ろしていたのだろうか。」
中野京子 著
名画の謎 旧約新約聖書篇(文春文庫)より
普段の生活の中で、相手の立場に立って物事を考えたり、人の気持ちを推し量ったりすることはわたしたちにも出来ます。
誰かのために祈るだけではなく、実際に目の前の家族や友人の立場から見た景色を想像して、優しい気持ちで接することができますように。