カテゴリ:みこころレター 第3号より

カトリック久留米教会誌 第3号

主のご降誕おめでとうございます

 今年は10 月に司教様の公式訪問、堅信式そして、フィリピン・コミュニティー結成15 周年を記念して、フィリピンからタグレ枢機卿様をお迎えするという恵みの年となりました。

 私は枢機卿様のお姿とお言葉の中にイエス様を感じました。多くの方々も同じ思いでしょう。枢機卿というグローバルな視点で教会と世界を見ておられる方であるにもかかわらず、どんな人にも、特に小さき人々、陽の当たらない状況に置かれている人々に特別の慈しみを示される姿勢にイエス様を感じたのです。カトリック教会は世界で10数億と言われる信徒を抱えた教会です。そこには組織もありますし、様々な制度もあります。しかし、原点は福音です。すなわち、イエス様が何を仰ったか、イエス様はどのように行動されたか、私たちキリスト者の生き方のすべてはその中にあります。超少子高齢化といわれる時代の中で、教会の力も日々衰えているように感じられます。しかし、どんな状況においても、福音には無限の力があります。

 イエス誕生の時代、ユダヤはローマ帝国に支配されていました。人々は圧倒的なローマの力の前になす術を知りませんでした。しかし、そこに登場したイエスはローマ帝国に勝る武力を持っていたわけでもなければ、権力者たちを掌握しようとしたわけでもありませんでした。ただ病人を癒し、ユダヤ社会から疎外されている人々を力づけ、女性や子どもたちを大切にしました。その行動は、当時の人々にとって価値がない、どうでもよいと考えられていた人々を大切にすることだったのです。そのお姿に接した多くの人々にとって、それはとても新鮮な振る舞いでした。そして、そこからイエスの神の国の運動が始まるのです。

 クリスマスのメッセージも同じく、羊飼い、あるいは異邦人の博士たちなど、当時の社会から大切にされていなかった人々への救いのメッセージです。

 震災やテロなどの事件が多かったこの年、苦難の中にある方々のために、幼子キリストの光が届きますよう祈りましょう。

主任司祭 スルピス 森山信三


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