真実の種を蒔く

「デマを聞いた2人に1人はデマを正しい情報と信じた」「信じた人の4人に1人は知り合いにSNSで送った」という、総務省が行ったインターネット上の偽・誤情報の拡散に関する全国調査の結果がニュースになっていました。

菊池枢機卿は、ブログにこう書いておられました。

イタリアメディアを中心に、世界各国のメディアでは、様々な情報が飛び交っています。
なかには正確に、誰が何票得たのに、それがそのあとで大きく変わったのは、これこれこういう裏事情があったのだと、かなり断定的に書いているメディアがありましたが、わたしもそれを見ましたけれど、わたしが目の当たりにした事実とはかけ離れた数字だったので、何らかのストーリーを作るための推測の結果なのだろうと思います。

わたしたちのために聖霊の導きで新しく選出された教皇様、それが真実のすべてです。

何票で選出されたのか、といったことはゴシップの類の情報であり、わたしたちが心に留める必要はありません。

教皇レオ14世の誕生にあたり、日本カトリック司教協議会会長メッセージとして、菊池枢機卿はこう指摘されています。

枢機卿団は、教皇フランシスコの後継者を探しているのではなくて、使徒ペトロの後継者を捜し求めているのだということを、皆が心に深く留めていました。
枢機卿団が祈りのうちに求めたのは第二の教皇フランシスコの誕生ではなく、主ご自身から牧者となるように委ねられた教会を忠実に導く使徒ペトロの後継者でありました。
多くの枢機卿が、多様性を尊重しつつも、信仰における明白性を持って、教会が一致することの重要性を強調されました。

胸が熱くなるようなお言葉でした。

わたしたちは、新しい教皇様の選出を心から、祈りとともに待っていましたが、一般的には「映画のような」「隠されたドラマチックな展開」を期待していたのだとあたらめて感じました。

教皇レオ14世は、5/12に行われた報道関係者との会見での挨拶でこのようにおっしゃっています。

わたしたちは、進むことも報道することも困難な時代に生きています。
この時代はわたしたち皆にとって挑戦となりますが、わたしたちはそこから逃れてはなりません。
反対に、この時代は、わたしたち一人一人に、さまざまな役割と奉仕を通して、決して凡庸さに陥らないように求めます。
教会は時代の挑戦を受けています。
同時に、コミュニケーションとジャーナリズムも、時間と歴史の外に存在することはできません。
聖アウグスティヌスがこういってわたしたちに思い起こさせてくれるとおりです。
「わたしたちがよく生きれば、時代もよくなる。わたしたちは時代なのだ」。

 

わたしの父はよく「NHKでこう言っていたから、やってみる」(=NHKは真実しか伝えていないと信じて疑わない)という、素直な人です。笑

いつも、このページには私見を交えていろいろと書かせていただいています。
できるだけ、教皇様や神父様方がおっしゃったこと、書いておられる本の内容を軸にするようにしていますが、時々、真実をお伝えできていないかもしれない、と不安を感じることがあります。

ただひとつ、自信を持って言えるのは、丁寧に、心を込めて、学んだことをお伝えしようとしているということです。

ここを読んでくださる方にとって希望の種となる、信仰における真実を、わたしなりに蒔いています。

 

最後に、5/25の世界広報の日のために、故フランシスコ教皇が今年の1月にわたしたちに向けて伝えてくださったお言葉を抜粋してここに載せておきます。

わたしたちに希望が開かれ、注意深く、柔和で、思慮深く、対話の道を示唆するコミュニケーションの必要性が示されています。ですから皆さんを励まします。
ニュースのひだに隠された多くのよい物語を見つけ出し、それを伝えてください。

柔和でいること、ほかの人の顔を忘れずにいること。
あなたがたが働きを通して奉仕する人々の、心に語りかけること。

衝動的な反応によって、あなたがたのコミュニケーションが左右されないようにすること。
困難なときでも、犠牲を伴うときでも、実を結ばないように思えるときでも、いつだって希望の種を蒔き続けること。

傷を負ったわたしたちの人間性を回復させうるコミュニケーションの実践に努めること。

敵意のないコミュニケーションの証人となり、推進者となって、ケアの文化を広め、橋を架け、この時代の見える壁と見えない壁とを突き破ること。

わたしたちの共通の運命を心に掛け、未来の物語を一緒につづって、希望に満ちた物語を語ること。

第59回「世界広報の日」教皇メッセージ

https://www.cbcj.catholic.jp/2025/05/02/32234/